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PICO推薦記事:ムンバイテロの背景
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作成日時 : 2008/12/03 20:24
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頭皮と頭髪に シャンプーをCHANGE
スカルプD
22008-12-03 14:55:06仙洞楽楽情報 から
PICO推薦記事:ムンバイテロの背景
ムンバイテロの背景
2008年12月2日 田中 宇
11月27日に起きた、200人近くが殺されるインド現代史上最悪のテロ事件となったムンバイでのテロは、襲撃対象の中に欧米や日本からの外国人客や多く滞在する最高級ホテルや高級レストランが含まれていたことから、国際的な大ニュースとなった。
ダウドは80年代、ソ連によるアフガニスタン占領と戦うイスラムゲリラ(ムジャヘディン)を支援した関係で、米諜報機関CIAと、その傘下にあったパキスタンの諜報機関ISIとつながりが深い。
米軍は最近「タリバン掃討」の名目で、アフガニスタンからパキスタン国境を越えて侵攻してくるため、パキスタン国内の反米感情が扇動され、パキスタン政府は米国に頼れない状況になっている。このため
パキスタン政府はインドとの関係改善を模索するようになり
、パキスタン国内に匿っていたダウドを、インド政府に引き渡すことを検討している。米CIAも、それを黙認しそうになっている。危機感を募らせたダウドは、配下の勢力を動かしてムンバイでテロを挙行し、印パ間の関係を悪化させることで、自らの身柄がインドに引き渡されることを防ごうとしている、という分析がある。
テロの標的にされた場所の一つに、
イスラエル系のユダヤセンター「チャバドハウス」(ナリマンハウス)
がある。チャバドハウスは、世界の71カ国に拠点を持つユダヤ人旅行者のための休息施設のネットワークだが、イスラエルの諜報機関による麻薬販売や資金洗浄の拠点としても使われ、80年代末には米国でチャバドハウスの関係者が検挙されている。
ヒンドゥ過激派の多くは、ヒンドゥ・ナショナリズムを掲げるインド人民党とつながっている。人民党は、今は野党だが90年代中ごろには政権をとっており、国民会議派と並ぶ政界の大勢力で、軍やマスコミにも大きな影響力を持っている。ヒンドゥ・ナショナリズムを支持する人々は、インドの軍や警察、諜報機関、政財界、マスコミなどに網の目のように入り込み、ここ10年ほど、インドの世論を反イスラム・反パキスタンの方向に誘導している。
インド当局内で、ヒンドゥ過激派がイスラム教組織のふりをしてテロをやっている件についての
捜査を指揮していたのは、捜査当局内のテロ対策担当組織のトップをつとめていたヘマント・カルカレ(Hemant Karkare)だったが、彼は今回のムンバイでのテロ事件の際、現場指揮をしている最中に狙撃され、死亡した。
公式には、カルカレを狙撃したのはテロ実行犯ということになっているが、当局内には、カルカレを殺すべきだと思っていたヒンドゥ・ナショナリズム勢力がいたはずだから、内部犯行の可能性もある。
当局とテロリストの結託を疑わせる証言もある。今回の事件では、ムンバイのターミナル駅も襲撃された。駅の前に会社がある新聞社ムンバイ・ミラー紙のカメラマンが、襲撃直後に駅に潜り込み、テロ実行犯の写真を撮った。その際、カメラマンは、駅の構内のあちこちに武装警官が隠れているのを見つけたが、警官たちは誰も犯人たちに向かって発砲しなかった。犯人は武装していたが警戒感が薄く、カメラマンは近くにいた警官たちに
「今なら犯人を射殺できる。撃つべきだ」と言ったが、警官たちは撃たなかった。
その間に犯人たちは、駅に居合わせた一般市民たちを次々に射殺した。
ターミナル駅で撮影されたテロ実行犯の写真が公開されているが、写真では、犯人が右腕の手首にオレンジ色のリストバンド(布製の腕輪)をつけている。このリストバンドは、ヒンドゥ・ナショナリストの若者たちが強運を祈ってつけているものと同じだという指摘がある。犯人はイスラム過激派ではなく、イスラム過激派のふりをしたヒンドゥ・ナショナリストだという主張が、イスラム教徒の側から出ている。
▼イスラエルの影
誰が犯人であるにせよ、このテロ事件の犯人についてもう一つ感じられるのは、米英イスラエルが被害者だという構図を意図的に作っていることである。チャバドハウスが襲撃され、イスラエル人が殺された。また犯人たちは高級ホテルを襲撃し、ロビーに居合わせた外国人客に対して旅券を見せるよう求め、英米国籍の外国人を探して人質にしようとしたとも報じられている。
実際には、200人近い死者のほとんどはインド人であり、外国人は20人程度である。米英マスコミは「犯人はアルカイダ」「パキスタンから船で乗りつけた」と、犯人像を確定した上で「英米イスラエル人を狙った犯行」という雰囲気を醸し出している。イラク戦争の失敗によって落ち目になった「テロ戦争」(テロ対策を口実に、米英イスラエルが世界支配を再強化する「第2冷戦」的な長期戦略)を立て直す意図を、軍産複合体の一部である米英マスコミが持っているかのようである。
今回のテロの結果、インドとパキスタンが再び戦争になった場合、インド国内で最も得をするのはヒンドゥ・ナショナリズムの政党インド人民党であるが、反イスラムの人民党は「テロ戦争」の構図にぴったり当てはまる。インド有権者の反イスラム感情を煽って政権を狙う戦略は、イスラエル有権者の反アラブ感情を煽って政権を狙ってきたイスラエルの右派政党リクードのやり方に似ている。右派の若者に軍事訓練を施してイスラム教徒と喧嘩させる手法や、政財官界や軍、マスコミの中に入り込んで影響力を拡大するやり方も、人民党とリクードで同じだ。
イスラエル軍の諜報機関のリクード右派勢力が、インド軍の諜報機関の人民党支持勢力から、イスラム教徒の敵意を扇動する技能や、政府内やマスコミでの影響力を拡大する技能を吹き込まれても不思議ではない。両国の軍は、いずれも英国系である。英国の諜報機関も、イスラム世界を相手とした恒久テロ戦争によって米英中心の世界体制を維持する目的で、イスラエルやインドの諜報機関内の右派勢力と組むことがプラスになる。米国の軍産複合体も、同様だ。
2001年に911事件が起きる直前、インドとイスラエルの諜報機関が新組織を作り、パキスタンに入り込んでテロ活動を行い、パキスタンを混乱させる作戦を開始したとも報じられている。
人民党は、政権をとった直後の1998年に核実験を挙行し、その後、米政府はインドを経済制裁したが、米中枢では国防総省やCIAが事前にインドの核実験を察知せず、意図的に核実験を黙認したふしがある。当時はちょうど、米国がアフガニスタンのタリバンへの敵視を強めるなど、テロ戦争の戦略的原型が形成され出した時期だった。イスラエルは、インドと自国で、間にあるイスラム世界を挟み撃ちする戦略を持っており、人民党のような存在は便利だ。
テロリストの襲撃を受けたチャバドハウスでは、運営者夫妻ら6人が死亡した。この点では、イスラエル人は被害者だ。しかし歴史を見ると、イスラエルの諜報機関は、テロリストにユダヤ人の施設を襲撃させ、それによって「テロとの戦い」や「シオニズムの強化推進」の口実を得る作戦をたびたび行ってきた。
イスラエル建国時には、中東各地のシナゴーグなどが放火され、それが「イスラム教徒の仕業だ」とされて、中東各地に住むユダヤ人たちが不本意ながらイスラエルに移住せざるを得ない状況が作られた。1976年にパレスチナのテロリストがハイジャックした旅客機をイスラエル軍の特殊部隊が奪還した「エンテベ空港事件」も、実はイスラエル諜報機関がパレスチナ人をけしかけてハイジャックを挙行させた「やらせ」だったと英BBC放送が昨年に指摘している。
チャバドハウスをめぐっては、テロ攻撃が始まる前夜、港に面するこのハウスに、海上から数隻のボートが接岸し、乗っていた10人が、たくさんの荷物をハウスに運び込んだとか、前夜にハウスの運営者が肉屋から大量の肉を買い付けたとかいう話も出ている。ムンバイの警察官の中には「武装勢力はテロリストとしてではなく、客として迎え入れられたのではないか」と地元テレビ局に話す者もいた。テロ犯人がヒンドゥ過激派なら、イスラエルの諜報機関とのつながりがあるのは自然だ。この事件にインド軍諜報機関も絡んでいるとしたら、誰と誰が敵だったのか、実際とは違う話がマスコミに発表されても不思議ではない。
▼BRIC台頭とムンバイテロ
今回のムンバイでのテロ事件が起きた背景には、おそらく、米ブッシュ政権の単独覇権主義のやりすぎによって米国の覇権が崩壊し、代わりに中露などBRICが台頭して世界が多極化しつつあり、インドがBRICの一員だという現状が存在する。
インドは大国であり、1947年に英国から独立後、経済成長して南アジアの地域覇権国になる可能性があった。しかし実際には「冷戦」を使って米英覇権体制を維持する戦略をとった英国がインドの台頭を好まず、パキスタンや中国との対立が扇動され、インドは貧困から脱せなかった。冷戦後、米英では、インドを台頭させて投資効率の高い地域にしようとする多極派と、イスラムとの「テロ戦争」を第2冷戦として扇動する米英中心派との暗闘が続いてきた。金融危機の激化で米財政やドルの破綻懸念が拡大し、米英中心主義のG7が「時代遅れ」と言われ、代わりにBRIC中心のG20が金融危機の解決に乗り出すなど、しだいに多極派が優勢になっている。
来月に就任するオバマ政権は、テロ戦争に「勝つ」ことを目標に、アフガニスタン重視の戦略を掲げており、この点では米英中心主義のように見えるが、同時に「アフガンで成功するには、パキスタンの安定が不可欠で、それにはカシミール問題を解決してインドとの対立を解消する必要がある」という理屈から、印パ間のカシミール和平を推進しようとしている。
パキスタン政府は、数カ月前からインドとの関係改善を求め、印パ国境に3カ所ある越境地点のすべてを開放したり、ザルダリ大統領が「インドは、パキスタンにとって脅威ではない」と宣言したりした。これは、米国に頼れなくなりつつあるパキスタンが、インドと和解せざるを得なくなっていることを表している。ムンバイのテロ事件は、印パ間の和解を妨害するかのようなタイミングで発生している。
今回のテロ事件では、イスラエルの影もちらついているが、現在のイスラエル政府は、もはやイスラム世界との対立激化を望む右派戦略を捨てている。唯一の後ろ盾だった米国が衰退する一方、反イスラエルのイスラム主義が中東を席巻する中で、右派戦略にこだわり続けると、イスラエルは滅びてしまう。右派政党だったリクードでさえ、右派を切り捨てている。
イスラエル政府は、入植地にこだわる右派を弾圧し、エルサレムを分割して東半分をパレスチナ人に与えて和解する方向に進みたいと考え、先日訪米したオルメルト首相は、オバマに「イスラエル政府が右派をつぶすのを手伝ってほしい」と求めたようだ。イスラエル右派は、米国ではAIPACやネオコンなど強い勢力を形成し、米政界を牛耳ってきた。米政界で「イスラエル」といえば、右派のことである。イスラエル首相は、オバマに「イスラエルつぶし」を頼んだのである。
このような中で、イスラエル諜報機関がインドでのテロに関与したとしたら、それはイスラエル政府の命令ではなく、諜報機関内部で強かった右派が、政府の意向を無視して、イスラム世界との対立構造を復活させようとして動いていると考えられる。米英イスラエルの諜報業界では昔から、政府の意向を無視して別のことをやる要員が多い。
イスラエルの諜報機関は、ソマリア沖の海賊をこっそり支援していると、サウジアラビアのメディアで指摘されている。イスラエルは、ソマリア沖の海賊を跋扈させることで、紅海の安全保障を「国際化」することを狙っている。紅海はサウジアラビア前面の海であるが、同時にイスラエルからインド洋に抜ける唯一の海上ルートでもある。
紅海の「国際化」とはすなわち、米英イスラエルが紅海に自由に出入りする権限を持つことで、サウジアラビアに対する威嚇となる。最近のイスラエル政府自身は、中東和平の一環としてサウジとの和解を希望しており、諜報機関(右派)によるサウジ威嚇戦略とは矛盾している。
▼中国はヒンドゥ犯人説
米国内では、共和党系のランド研究所が、今回のムンバイテロに関してアルカイダ犯人説を否定し、インド国内犯説を立てている。これは、米共和党が、失敗した「テロ戦争」の大戦略を捨て、印パ間の和解やインドの台頭を許す多極化容認の戦略を採り始めていることを示している。共和党では、米英中心主義が弱まり、多極主義が強くなりつつある。
この流れは、オバマ政権に影響を与えるはずだ。オバマは民主党だが、ジョーンズ補佐官、ゲイツ国防長官といった政権の安全保障担当者は共和党系であり、オバマ政権は事実上、共和党の中道派の政権だからだ。オバマ政権内のもう一つの勢力となるクリントン一派も、ビル・クリントンの大統領任期末に、印パ間のカシミール問題を何とか解決しようと走り回った過去があり、印パ和解に異存はないはずである。
ムンバイテロに対しては、中国とイランの反応も興味深い。中国の人民日報は、テロ実行犯が手首にオレンジ色のリストバンドを巻いていたことなどを根拠に、テロ犯人はムスリムではなくヒンドゥ過激派だろうと指摘している。これに対してインドのマスコミは「中国は、自国と親密なパキスタンが犯人だということを隠すため、こんなことを書いている」と批判している。
インド人民党は、2004年まで政権に就いていた時には、中国との関係改善に積極的だった。ナショナリズムを重視する人民党は、多極化によってインドが世界的に台頭することは歓迎だ。人民党は米単独覇権主義を嫌い、イラク侵攻に反対した。しかし最近の人民党は、多極化によって中国が台頭してパキスタン・イスラム世界と結束することを警戒し、イスラエルや英米と組んで対イスラムのテロ戦争を復活させる方に引かれているようだ。インド政界は、多極化する世界の中で揺れている。
米英イスラエルの諜報右派が、インドとパキスタン・イスラム世界を再び対立させようとしているのを見て、イランは印パ双方に対して「テロや戦争を扇動する米英イスラエルなんか無視して、イランと組んで、イランからパキスタン経由でインドにガスを運ぶIPIパイプラインを早く建設しましょう」とすり寄っている。イスラム世界からは、トルコも印パ双方の和解を仲裁する動きを見せている。
世界の多極化が進む中、アジアのあちこちで、地政学的な暗闘、テロや政権転覆の画策、またはその逆に、和平の模索などが行われている。日本の新聞にはほとんど載らないが、今後の長期的な世界情勢の方向性を示す重要な動きがいくつもある。事態の展開が速く、私が書ききれないのが残念だ。
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